【中小企業診断士が解説】事業計画作成ガイド(4)環境分析について

事業計画書を作成するうえで欠かせない「環境分析」とは

「事業計画作成ガイド」第4回目としてお伝えします。
忙しい中小企業の経営者の方にこそ読んでいただきたい、中小企業診断士による事業計画書の書き方をお伝えします。

【中小企業向け】2025年版

事業計画書で使える「環境分析」の進め方

今回は、事業計画作成における「環境分析」について解説します。

「環境分析」とは?その基本と、2025年のトレンドに触れた活用術をお届けします。

知らないと損!事業計画書に欠かせない環境分析の基本

また、知らないと損をする「補助金審査」で重視されるポイントについても触れます。
事業計画書を作成することは、自社の強み市場の変化を見直す良い機会にもなります。

そもそも環境分析とは?中小企業が押さえるべきポイント

環境分析とは、簡単に言うと現在の状況や環境、自社の強み・弱みを整理することです。

たとえば
・お客様はどのような商品やサービスを求めているか?
・競合はどんな動きをしているか?
・世の中の流れ、地域に変化はあるのか?
・自社はどんな強みがあって、どんな課題があるのか?

こういったことを調べることで、自社が今どんなチャンスを活かせるのか、逆にどんなリスクに気をつけるべきかがくっきり見えてきます。

具体的には、大きく2つに分かれます。
これは時代を問わず基本となる部分ですので、ぜひ覚えておいてください。

【会社の内側】 内部環境分析:
経営資源(人材・技術・設備)、財務状況、販売チャネルなど
【会社の外側】 外部環境分析:
市場の動向、競合他社の状況、法律・制度の変更、地域経済の変化など

ずばり「環境分析」とは、自社を取り巻く内部と外部の経営環境を多角的に分析し、現状の把握と将来の予測を行うことが大切です。

まずおすすめしたいのが、「SWOT分析」という、シンプルながら効果的な方法です。SWOTとは、この頭文字を取ったものです。


・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会/チャンス)
・Threat(脅威/リスク)

SWOT分析の使い方

まず紙を4つのマスに分け、「強み」「弱み」「機会」「脅威」とそれぞれ書き出します。社内で話し合いながら意見を出していくのがおすすめです。強みは何か、課題はどこか、外部のチャンスやリスクは何かを整理することで、自社の今と未来がより具体的に見えてきます。

SWOT分析

「SWOT分析」を使うことで、自社の分析をより客観的に進められるようになります。強みと弱みを明確にすることで、事業計画も立てやすくなります。
まずは一度試してみることをお勧めします。

環境分析には内部と外部の両面が必要であるとお伝えしましたが、2025年のように変化が激しい時代には、その重要性がいっそう高まります。
環境は常に変化しているからです。

2025年の経営環境の変化予測

現在の経営環境は、かつてないスピードと規模で変化しています。
そのため経営者には、時代の変化を敏感に感じ取り、リスクとチャンスを早期に見極める力が求められます。ここでは、今注目しておきたい3つのトピックをご紹介します。

【最新トレンド3選】

1. 加速するデジタル化(DX)

・「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は補助金でも優遇されやすい傾向に
・AIによる業務プロセスの最適化で、コスト削減や生産性向上が可能
・ITツールや業務効率化の仕組みを導入することで、採択率が高まる場合も
・新規事業を検討する際には、デジタル技術の活用を計画に組み込むのがカギ

2. 人手不足と働き方改革

・採用難が続くなか、リモートワークや柔軟な労働環境の整備が必要不可欠に
・中小企業でも短時間労働の導入が進みつつある
・働きやすい職場づくりが評価される時代へ
・労働環境の改善や賃金アップが、補助金審査の評価ポイントになることも

3. 脱炭素・SDGsの推進

・環境配慮型事業への支援が拡大傾向に
・AIを活用したエネルギー効率化や排出量削減の取り組み
・省エネ設備の導入やエコ商品開発は、事業の評価を高める可能性あり
・時代背景と自社の取り組みを結びつけることがポイント

2025年の経営環境の変化予測

事業計画書「環境分析」3つのポイント

事業計画書における環境分析の記述では、以下の点に注意して進めましょう。

とくに補助金申請のための事業計画書作成は、自社を冷静な目で見て現状を正しく把握できているかが問われます。

1. データと事実に基づいた記述をする

漠然とした表現では説得力に欠けます。「市場が拡大している」「需要がある」といった表現だけでは不十分です。
地域の統計データや業界レポート、自治体の経済白書などを活用し、具体的な数字を盛り込んでみましょう。

たとえば、「2024年度の地域内観光客数は前年比15%増加」といった事実を入れると、信頼性も説得力も大きく高まります。

2. 自社の強みだけでなく「弱み」も把握する

補助金を申請する際、「いいことばかり」を並べた計画書では、逆に審査員に警戒されてしまうことも。
自社の強みはもちろんですが、同時にちゃんと課題やリスクも把握しているか――ここが意外と見られています。
現実を直視して、隠さずに書く。そして「それにどう向き合っていくのか」まで示せば、信頼度はグッと上がります。

3. 外部環境の変化をチャンスとして捉える

補助金の審査では、「なぜ今なのか?」が重視されます。
たとえば「人手不足が深刻化しているなか、自動化による生産効率化が必要」といったように、時代背景と自社の取り組みを結びつけることが大切です。
これによって、「補助金の活用が事業成長にどうつながるのか」を明確に伝えられます。

事業計画書「環境分析」のまとめ

忙しい経営者こそ、あえて時間を取って環境分析を行い、事業計画書を見直してみましょう。
戦略のない戦術は、どうしても効果が薄れてしまいます。
まずは2025年のトレンドを意識して、次のような取り組みを検討してみてください。

・業務効率化のためのIT導入
・働き方改革を見据えた制度づくり
・SDGsを意識した商品開発

地域密着型の中小企業は、地域のニーズや社会的課題など、そこに暮らしているからこそわかることがあります。
行政の支援策を的確に捉え、商工会議所や支援機関と連携しながら『環境分析』を進めていきましょう。

厳しい時代に「選ばれる」ために

環境分析は、単なる現状把握ではありません。
「これからどう攻めるか」「未来の事業を成功させるためのヒント」を得るための、重要なステップです。

・自社の強みを活かす
・市場の変化に柔軟に対応する

そんな戦略的な事業計画書を、一歩ずつ形にしていきましょう。

環境分析のポイント
1.環境分析・SWOT分析を通じて自社を内外から理解する
2.具体的なデータや事実に基づいて記述し、説得力を高める
3.自社の強みと弱みを正直に整理する
4.2025年の最新トレンド(DX、人手不足、SDGs)を検討に取り入れる
5.「なぜ今このタイミングなのか」の説明は、欠かせないポイント

ご自身のペースで、できるところから事業の見直しを始めてみてください。私たちも、皆さまの挑戦を応援しています。

それでもやっぱり時間がない、一人ではアイデアが出てこない……という方は、ぜひお近くの中小企業診断士や経営コンサルタント、商工会などの支援を活用してみてください。新たな発見があるはずです。

▼ご相談は下記の問い合わせフォームから受け付けております。

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